2014年10 月18日
管理栄養士 中居有紀
「食卓を囲んで食事をして育った子供は、社交性、集中力、学業成績などが上がりやすい」
…今週、某人気情報バラエティ番組で、取り上げられていたテーマです。
仲間と一緒に食卓を囲むことが出来るのは、自分の食欲を抑え、分かち合うことができる人間だけなのだそうです。家族と過ごす時間が多い、小さな子供たちにとっては、1日3度の“食”を十分に分かち合ったり、みんなで楽しく食べられることが、愛情を感じたり社会性を学んだりすることにつながっていくのであれば、その後の人生での、社交性や学業成績にも影響を及ぼすことにつながるのも、理解できる気がします。
栄養指導の席でも、食事の好みや習慣について伺っていると、「○○という家庭で育ったので残すことが苦手で…」などという意見を頻繁にお聞きしますが、『三つ子の魂百まで』は、食の場面では、特に関係が強いのかもしれません。
さて、そんな食卓を彩る“くだもの”がたくさん旬を迎える季節になりました。食欲の秋、子供の好きな甘いくだものがたくさん出回ります。今回は栄養的に好ましい「くだもののとり方」についてがテーマです。
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食べるのにふさわしいのは、朝!
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ヨーロッパのことわざに、「朝のくだものは金、昼は銀、夜は銅」というのがありますが、 やはりくだものを食べるのに一番ふさわしいのは、 朝 。起床時の脳 は、エネルギーが不足しています。その脳に 、主なエネルギー源であるブドウ糖を効率的に補給できるのが、くだもの。だから、朝にくだものを食べるのは、理にかなっていると言えるでしょう。 ただし、食べ過ぎは血糖値や中性脂肪を上げる原因にもなるので、ほどほどの量にしましょう。
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くだものの適正量は?
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食事バランスガイドでは、くだものの適正量は、2SVとして示されています。
(食事バランスガイドは、健康な方々の健康づくりを目的に、農林水産省により策定されている、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいのかの目安が示されたもの。糖尿病や高血圧の方は、担当医師・管理栄養士にご相談ください)
2SVは、
・りんご:1個
・梨:1個
・みかん:2個
・柿:2個
・桃:2個
・ぶどう:1房
・バナナ:2本
・キウイフルーツ:2個
に該当します。
(※糖尿病の場合は、この半量が目安)
どんなにおいしくても、これ以上食べるのは食べ過ぎになります。
心当たりのある方は、要注意!
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秋のくだものの栄養
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旬を迎えている秋のくだものの、主な働きはこちら!
柿
ビタミンC
が豊富。大きめの柿なら、1個食べるだけでほぼ1日分のビタミンC必要量を摂ることが出来ます。ビタミンCは、活性酸素の増加を抑えて老化を予防するほか、動脈硬化や心筋梗塞の予防、免疫力を高めたり、ストレスを和らげたり、貧血を予防する働きがあります。
桃
水溶性食物繊維の
ペクチン
が豊富。水溶性食物繊維は、コレステロールを吸着して体外に排出して動脈硬化を予防したり、糖質の吸収を緩やかにして食後血糖値の急激な上昇を抑えたりする働きがあります。
梨
梨に多く含まれているのは、
銅
や
食物繊維
。銅は、あらゆる酵素の材料になるほか、ヘモグロビンの合成を助けたり活性酸素を除去したりするのに働きます。食物繊維の中でもリグニンという食物繊維が、梨独特のシャリシャリとした食感のもととなっており、便秘や大腸がんの予防に働きます。
ぶどう
名前の通り、 ブドウ糖 や 果糖 が多く含まれています。吸収されてエネルギー源となりやすいため、肉体疲労時の栄養補給に利用できます。ただし、血糖値も上がりやすいため、注意が必要です。また赤色の果皮には、アントシアニンやフラボノイド色素を多く含み、これらの強い抗酸化作用によって動脈硬化の予防が期待されます。
くだものの缶詰やジュースもありますが、糖分の量が格段に増えてしまいます。
くだものを摂る時は、生の形で摂るのをオススメします。
旬の食材を賢く味わい、楽しい食卓を囲んで…
実り多い秋をお過ごしください♪
(No.50 )