2013年10 月19日
管理栄養士 中居有紀
今週水曜、10年に一度と言われる大型台風が関東を過ぎていきました。
過ぎた後、クリニックに面しているいつもはのどかな湯殿川も、この時は水が溢れて河川敷が消え、小氾濫状態になってしまっていました。
↑お昼過ぎ。これでも減った方です。
台風の多い季節になり、今年もあと2か月ちょっとですが、毎月開催している栄養学講座は今月で第18回を迎えます。ちょうど一年半が経過。さまざまなテーマで開催してきましたが、前回は動脈硬化予防について行いました。
今回のコラムでは、その時の様子も交えながら
『
動脈硬化予防のための食事のポイント
』について書いていきます。
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心臓から送り出された血液を全身の臓器に運ぶ血管、動脈。
動脈の血液も小川のように、サラサラと流れていればいいのですが、ドロドロのもとであるコレステロールや中性脂肪などが体内に増えて溜まってしまうと、血管の通り道も狭くなってしまいます。そのために流れが滞ってしまうような状態が、「 動脈硬化 」です。 だからコレステロールや中性脂肪が高めな方は要注意!
血圧や血糖値が高いと、ますます動脈硬化を促進させ、悪化すると血管が詰まって心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。「コレステロール値も血圧値も高い!」そんな方は特にご注意ください。
進行しなければ痛くも痒くもない動脈硬化。
でも進行すると心筋梗塞で命を落とすこともあれば、脳梗塞の後遺症で半身不随の不自由な生活をおくることにもなりかねない、甘く見ると怖いものです。
そこで少しでも心当たりのある方へ、
なるべく動脈硬化を引き起こしにくくするお食事にするためのポイントをお届けします
ポイント1:海藻を忘れずに摂りましょう
わかめ、ひじき、もずく、昆布、めかぶなどの海藻類。海藻には水溶性食物繊維が多く含まれ、血中コレステロールを下げる働きがあります。おまけに低カロリーで体重や血糖値が気になる方にもうれしい食材。海藻は具体的な摂取目安量が決まっているわけではありませんが、個人指導の席などでは「そういえばほとんど食べていません」という方がたくさんいます。不足気味の人は、積極的に摂るようにしましょう。
ポイント2:抗酸化食材を積極的に摂りましょう
体内でコレステロールが動脈硬化の材料になる時、活性酸素がそれを促します。
コレステロールを運ぶタンパク質をLDLといいますが、このLDLが活性酸素と反応して酸化LDLになると、動脈硬化のもとになります。だから、体の中の活性酸素を除去するのも、動脈硬化を予防するのに必要。
抗酸化力の高い食材<ナス、パプリカ、アスパラ等>
は活性酸素除去を助けます。積極的に摂りましょう。
ポイント3:タンパク質源は「肉より魚」「卵より豆」
毎食必要なタンパク質のおかずは、卵や肉類よりも、魚や大豆製品(納豆、豆腐など)の方が、動脈硬化予防に役立ちます。卵はそれ自体に含まれるコレステロール量が多く、また肉類も油が多くて高カロリーになり易く、脂身には動脈硬化を促す飽和脂肪酸も含まれています。卵やお肉よりもお魚や大豆製品を積極的に摂るようにしましょう。
講座ではこの3つのポイントを取り入れつつ、フードモデルを使用して動脈硬化の予防献立を考えてもらいました。
グループ作業です。
ある一つのグループの献立だけご紹介しますと、こちら。
ごはん
アジの煮つけ(わかめ付け合わせ)
煮豆
トマトサラダ
大根サラダ
ナスの鍋しぎ
フライドポテト
昆布としいたけの佃煮
計 899kcal
品数がたくさんで、とても豪華なメニュー!
ポイントは、『まごわやさしい』を揃えたことだそうです。
(まごわやさしい:健康にいいと言われるマメ・ゴマ・ワカメ・ヤサイ・サカナ・シイタケ・イモの頭文字をとった覚え方)
食物繊維が多い食材がたっぷりで、これもなかなか良さそうです。ただ皿数が多くカロリーが高め。カロリー摂りすぎも、血糖値が上がって動脈硬化のリスクの一つになる可能性があるので、そこも注意。
ポイントをそのまま応用すると例えば、
ごはん
アジの煮つけ(わかめ付け合わせ)
ナスの鍋しぎ
れんこんのきんぴら
計 630kcal
一見少ないようですが、動脈硬化予防を考え1日1800kcalくらいを目指す方なら、こんなシンプルな献立でバランスもカロリーもちょうどよくなります。
キレイな血液を目指して、上の3つのポイント、簡単なことからでもやってみてくださいね〜♪
(No.38)