2013年5月18日
管理栄養士 中居有紀
「もう目が慣れましたねぇ・・・」
とある男性糖尿病患者さんが、栄養面談の席でおっしゃっていました。
糖尿病の検査値が大変高いところから栄養指導がスタートし、毎回ご夫婦で来院されること半年間。
検査値が大幅に改善された頃に、たんたんとした口調でご本人様が教えてくださいました。
『腹八分目(当院では七分目を推奨しています)』という言葉がありますが、常に満腹まで食べる癖がついている人にとって、腹八分というのは、最初は物足りなく感じるのが普通。これに慣れるまでが勝負どころです。
腹八分にしていくため、お腹を慣らしたい!
ダイエットに真剣な方は、そんなふうにおっしゃるものですが、ダイエット成功者の方々の体験談としてお聞きするのは、お腹だけでなく「目が慣れたのが大きい」ということ。今までにも何度か伺うことがありました。
本来は理想的な『適量』を、「少ない」と感じてしまう最初の段階が、食べる以前、目で見た時の判断によるものである方は多いのかもしれません。
ダイエットや糖尿病でカロリーコントロールが必要な方は少し、いつもより1皿少ない食事 に目を慣らすよう意識してみると、次第に「少ない」という思い込みも外れ、理想的な体にまた一歩近づくでしょう。
今回は、そんなダイエット関連のミニ知識をお届けします。どれくらいの量に目を慣らすと、お腹のお肉が実際に減っていくのでしょうか…?
体脂肪1kgを減らすって…?
聞き覚えのある方もいるかもしれませんが、体脂肪を1kg減らすには、エネルギー収支を―7000kcalにする必要があります。―7000kcalというのは、30日(1ヵ月)分に換算すると、一日あたり今までよりも―約234kcalにする必要がある ということになります。
234kcalってどれくらい?
計算上、一日―234kcalを毎日続ければ、1ヵ月で体脂肪が1kg減らせます。この234kcal、実際どれくらいかというと…
・ごはん軽く1杯分(150g)
・4枚切食パン1枚分
・卵3個分
・カップアイス1個分
・ビール大瓶1本分(633mL)
・日本酒1合強
・ワイン2~3杯
・ドーナツ1個分
・バナナ2~3本分 など
食事からだけでなく運動量もいつもの量に+α増やすだけで、減らす食事量を少なくすることもできます。
栄養指導などの席で「食べたいものを食べたいだけ食べられないのか…」と落胆されると管理栄養士としても、悲しい気持ちになってしまいます。当然、毎日の食事はおいしく楽しい方がいいものに決まっているからです。
でも食べてはいけないのではなく、健全な普通量にすれば良いだけのこと。多くの場合、健全な量ではないから『病気』として体がサインとして表しています。
時間をかけて出来上がってしまった、目とお腹の「食べ過ぎ」な基準。これもダイエットがうまくいっている方の大半が、「慣れで解決する」とお話されます。減量がうまくいっている人の共通点は、適量に慣れるまで続けられること。
思い切って今日の食事から『普通量』にしても、明日から少しずつ減らして『普通量』に慣らしていくのでもどちらでもOK。体を労わってあげられるよう診察や栄養指導の席で、お気軽にご相談ください。