医療コラム

鯛も一人はうまからず

2011年12月21日

管理栄養士 中居有紀

 

「鯛も一人はうまからず」
 …どんなに美味しいものでも、一人だけで寂しく食べるのでは美味しくない。食事は大勢で食べるのが美味しいということのたとえ。


 

 今年もたくさんの栄養指導をさせて頂きましたが、たくさんの方の食生活に触れ、毎日より良い食事のことについて考えてきた中から、冒頭の言葉に多くが集約されているように思います。


 今年の夏頃、栄養指導の中で、一緒に食事をする人が誰もいないから食に何の欲も持てないと訴えてくださった一人の高齢女性がいました。栄養のこと以前に、大事なのは食事をする環境、食卓だということを教えてくださった方でした。

 

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 食卓は、その人間関係のあらゆる部分を反映していることが多く、冒頭のような「」と「人と人の関係性」を表している言葉が国内外に、数多くあります。毎日の『食』が、社会を形成するとても重要な役割を果たしています。


 また食卓を囲む人だけでなく、食事の仕方も日常を豊かにするのにとても影響が深いように思います。携帯電話をいじりながら、新聞を読みながら、またはビジネストークをしながら、食事は胃に流し込んでいるだけ…そういう生活をしていると、きちんと味わって食事を楽しむ場合よりも生活習慣病発生リスクが増すという研究結果も報告されています。

 もちろん食環境だけでなく、身体を構成しているのは食べたものそのものである以上、栄養的な面でも影響しています。偏った食事をすれば、それがそのまま寿命にも影響しかねません。「食べることは、生きること」とよく言われますが、まさに食が人生をつくっていきます。

 年末年始、一番太りやすい時期になります。お身体を大事にお過ごしください。
 今日はお正月に欠かせない食材、「餅」についてです。




■ 餅と正月

 縄文時代の後期から稲作の伝来とともに伝わったと考えられている餅。これが正月などに欠かせない縁起物となっていったのは、平安時代に朝廷に推奨されたことがきっかけと考えられています。特に、大小2つの平たい円餅を重ねて供えられる鏡餅は、昔の神事などに用いられていた「銅鏡」に似ていたことから、「鏡餅」と呼ばれるようになったという説があります。
以下は、諸説ある『鏡餅の飾りの意味』の一例です。
橙:「代々子孫が繁栄する」という縁起の語呂
裏白:シダ科の植物で、裏が白いため「ともに白髪が生えるまで」など、夫婦円満の意味を持つ
四方紅:四方を紅で縁取ることで「天地四方」を排して災いを払い、繁盛を祈る
御弊: 四方に大きく手を広げて繁盛を願う

 


■ 餅と栄養

 材料のもち米は、ふだんご飯として食べているうるち米より、粘り気があります。栄養的にはうるち米とほとんど同じで、約77%がでんぷんを主体とする炭水化物、約6%が必須アミノ酸をバランスよく含んだたんぱく質、そのほか、ミネラル、ビタミン類を含んでいます。
餅のカロリーは、切り餅1個分(約50g)が、ご飯1/2杯分(約70g)程度。つまりご飯1杯分≒切り餅2個分のカロリーになります。正月気分が暴走して、必要以上に暴飲暴食することのないようにご注意ください。




 肉体面にも精神的にも影響の深い『食』。
 2012年、少しでもよりたくさんの方の食生活改善のお手伝いをさせて頂けたら、と思います。

 毎日栄養食事相談は行っております。当クリニックにご来院の際は、お気軽にお声かけください。

 2012年もよろしくお願いいたします。wink

 

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  2011/12/21   澤渡循環器クリニック