医療コラム

■10月1日、しょうゆの日

管理栄養士 中居有紀

「料理にお醤油をかけるときは
減塩醤油に昆布だしや酢を混ぜたものを使うようにしています」

先月の「塩分」に関してをテーマとした集団栄養指導の席で、そう教えてくださった女性がいました。やはり集団栄養指導に参加される方々は、健康や食生活への意識が根本的に高いと、毎回感心させられます。

醤油と一口に言っても、「濃い口醤油を買うのが当たり前」「風味にこだわって高級醤油を取り寄せて買うのが当たり前」「減塩醤油を更に割って使うのが当たり前」と、様々な声を今までお聞きして来ました。そのご家庭によって醤油の常識が違うようです。

ある「調味料に関する意識調査」によると、『家庭における一番消費が早い調味料』は、ダントツで『醤油』なのだそうです。また世界でも北米大陸を中心に世界十数カ国に輸出され、海外でのその生産数量も年々増加しています。


来る10月1日は、「しょうゆの日」。
(「醤」の文字に、十二支で10月を表す「酉」の字が含まれていることが由来として、制定されたそうです)

今回は、そんな醤油についてがテーマです。


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■ しょうゆの始まりは「醤(ジャン)」
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今から三千年以上も前、古代中国に伝わる「醤(ジャン)」。原料を塩漬けにして保存されたもの、これが醤油のルーツと考えられています。昔の醤の原料は数種類あり、野菜や果実・海藻、魚や肉、米や小麦・大豆などの穀物などが利用されていました。このうちの穀物を原料とした『穀醤(こくびしお)』が醤油の原型と考えられています。
日本では飛鳥時代に、味噌と醤油の中間のようなものが『醤』として食卓にのぼっており、ここから「醤→味噌→醤油」と発展していったと考えられています。


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■ しょうゆの種類は5種類
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日本農林規格(JAS規格)では、次の5つに分類されています。
●こいくち
国内生産量の80%以上を占める。旨み成分が多いので、だしをしっかりととる必要がなく、煮物や肉じゃがなど多くの家庭料理に利用される。
●うすくち
国内生産量の13%程度を占める。白煮など素材の色を生かして仕上げたい場合に利用される。製造工程において色を薄くする加工がされている。量が少なくてもきちんと味がつくように塩分が濃い目になっており、「こいくち」の醤油より塩分量は2 - 3%ほど多い。
●たまり
国内生産量は全体の2%弱。刺身のつけ醤油、照り焼きや煎餅などに適している。大豆のタンパク質から得られる旨み成分が多いため、トロリとしたコクのある味が特徴。
●さいしこみ(再仕込み)
国内生産量は約1%。しょうゆを二度醸造するような製法により作られる。色も味も濃厚で、つけ・かけ醤油に適している。
●しろ
国内生産量は1%弱。素材本来の色を活かしたり、高級料理の隠し味などに利用される。

料理に合い、かつ素材そのものの味を活かしながら過剰塩分とならないように上手に使い分けましょう。


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■ しょうゆの塩分
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通常の塩分量は、こいくち醤油が約16%、うすくち醤油が18%。
これに対し減塩しょうゆは、通常塩分が50%ほどカットされており、厚生労働省から表示を認可されたものをいいます。
しかし減塩醤油は、薄い、味気ないなどの意見も多いもの。こんな時は、減塩醤油を手作りしてみてもいいかもしれません。普通の醤油を、昆布とカツオで十分にとっただし汁で 割り、食塩を半分に抑える。こうすれば、旨味・風味ゆたかな減塩醤油が出来上がります。冷蔵すれば一週間くらいもたせることが出来るでしょう。

また中には、高血圧や健康食を楽しみたい方向けに、塩分がほぼ0%の醤油も発売されているようです。 用途や嗜好に合わせ、美味しくヘルシーに醤油と付き合いましょう。

 (№.25)

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