医療コラム

■からだにやさしいサトイモと芋煮会

管理栄養士 中居有紀

お盆が過ぎました。
子供たちにとっての夏休みも残り10日程となり、空は入道雲から秋の雲に変わり始めます。枝豆にそうめん、スイカに冷やし中華と、食卓を夏らしくしてくれた食材も、次第に秋の食材へと交代していく季節です。

また食材だけでなく、行事も秋のイベントが増えていきますが、そんな秋のイベントの一つに東北地方の『芋煮会』があります。学校や職場などで親睦を深める秋の行事として行われており、サトイモを使った鍋料理を河川敷などの野外で作って食べる行事です。

以前、『ホームパーティーやBBQをして、新しい人とつながるイベントを主催する経験回数、幼少からの場作り経験値の違いが、欧米と日本の直感的な企画力や自主性、組織運営力の差を生んでいる』という話を聞いたことがありますが、芋煮会もまた東北の伝統的BBQといっても過言ではないかもしれません。おいしい食事と時間を共有しながら友人や家族・親戚が集う場から生まれるものは、多くの意味で後に大きな影響力を持つことになるようです。

東日本大震災から1年半。
震災を忘れないためにも東北を更に盛り上げ、また人と人から生まれる場を生むそんな芋煮会を、今年は企画して楽しむのもいいかもしれません。

今日は、「サトイモ」と「芋煮会」についてがテーマです。


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■ 芋煮会の歴史
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サトイモが日本に伝わったのは、稲作栽培の始まりよりも早い縄文時代とされています。山ではなく里で栽培されていたことから、『さといも』と呼ばれるようになりました。初めは芋煮の文化はありませんでしたが、江戸時代になって米の不作に備えてサトイモが作られるようになり、その収穫祭的な意味合いで少人数で鍋料理をするようになったのが、「芋煮会」の起源と考えられています。また様々な人が行き来する「河原」を舞台としているところから、「交流」のための感謝祭であったとも考えられている。


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■ さといもの栄養
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主成分はでんぷんです。
この他、高血圧やむくみに効果的なカリウム、コレステロールの吸収を抑制する水溶性食物繊維、アミノ酸の代謝を助けるビタミンB6を多く含んでいます。
ぬめりは、食物繊維の一種であるガラクタンとタンパク質が結合したもので、ムチンと呼ばれます。胃粘膜を保護したり、消化促進作用があると考えられています。
またサトイモの皮むきをすると痒いのは、皮の下2-3mmほどにあるシュウ酸カルシウムの小さな結晶が皮膚に刺さって、かゆみを起こしてしまうためです。洗って乾かしてから皮を剥くか、手を酢水につけたりしてから剥くとよいでしょう。

サトイモは、水分が比較的多いため、イモ類の中では低カロリー。
サトイモ(中サイズ)3個分とジャガイモ(中サイズ)1個分が、同程度のカロリーです。
1人分 サトイモ2個程度を目安にすると、全体のカロリーが抑えられやすくなります。



間もなくやってくる芋煮会の季節。
健康的に、サトイモや芋煮を楽しみ、心身ともに充実させていきましょう!!

(№.24)

※写真は、山形の芋煮そばです。

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