医療コラム

寒い季節に、温かい食卓を

2011年12 月21日

管理栄養士 中居有紀

 

 とうとう霜月、11月。
 今年も残るところあと1ヶ月余りとなってきました。

 本格的な寒さを感じる日が増えてきて、温かいメニューがたくさん食卓に並ぶようになりました。おでん、鍋、しゃぶしゃぶやすき焼き、ロールキャベツやシチューなど…。寒いときには身体が温まるものを食べて、芯まで温まりたいものです。

 さて、年間1000件の栄養指導をさせて頂きながら、その都度1000回分の食生活をヒヤリングさせて頂いています。前回にも書かせてもらいましたが、そこでは食事のことだけでなく、食べる背景にある『 生活 の部分について、たくさんお話を聞かせていただいています。

 

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お孫さんに料理を作って喜んでもらった時のエピソードを、表情をパッと変えて明るく語る高齢男性のお話や、夫婦間における今の食事に至るまでの長年の経緯など、食事についてヒヤリングするだけで、涙を誘うようなエピソードや、生き方についての考えさせられることもしばしば。

食生活 』という言葉があるように、食事が 栄養素や食事だけのことに留まらず、生活の中での「食」であることを、改めて感じさせて頂きます。


 今日はそんな栄養指導の時間の中でも、特に最近話題に挙がることの多い、冬野菜の代表  大根 についてです。
 


■ 大根の種類

 冬に旬を迎える大根は、鍋料理やおでんには欠かすことのできない野菜です。
 日本に流通している大根の主な品種は、白い大根ですが、海外には赤、紫、黒色なども多く出回っています。大根の部位によっても味が異なり、葉に近い部分は生食向き、中の部分は煮物向き、根の細い部分はおろしに向いています。
 国内でも櫻島大根や聖護院大根、守口大根、源助大根などの品種に分かれ、それぞれ味や特徴が異なります。
 


■ 大根の栄養


 大根(根の部分)の持つ栄養素として、中でも多いものは、貧血防止や胎児の成長を助ける『 葉酸 』、抗酸化力が高く多くの疾病予防に働く『 ビタミンC 』、便秘改善や腸内環境の維持に働く『 不溶性食物繊維 』があります。
 また大根の葉は、根とは違う栄養成分が含まれており、特に多いのは、骨を丈夫にしたり血液の凝固に働く『ビタミンK』があります。

 特に完熟した大根を細かく切り、干して乾燥させた切干大根は、生の大根よりも栄養成分が凝縮されており、カルシウムやビタミンB1・2、鉄分や食物繊維などが豊富です。低カロリーなのに必要な栄養素が豊富で、『血液サラサラ作用』もある食物繊維は、煮物やサラダ、酢の物などに積極的に取り入れると良い食品です。


   年末に向けて忙しくなる季節ですが、季節の素材を組み合わせて、身体を温める食卓を楽しみましょう。

 

 

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