医療コラム

食事と尿酸


2017年12月
管理栄養士 森 幸恵

早いものでもう年末です。年末年始といえば、ご馳走をいただく機会が増えます。
尿酸値が日頃から高めの方は、痛風発作が心配な時期ではないでしょうか?
今回は尿酸と食事との関係についてです。




尿酸って
細胞の核の部分が体内で代謝されて出来る物質です。主に尿中に排泄されます。
血液中に増えすぎると(高尿酸血症)、結晶化して関節に沈着し、痛みが出ます。
その痛みは非常に強く、風が吹いたくらいでも痛いので、「痛風」と呼ばれます。


食事のポイント
✔  水分をしっかり摂る
水分(水やお茶)をしっかりとることが重要です。
尿量が増えると、尿酸が尿中へ排泄されやすくなります。
水分制限がある方は、主治医にご確認ください。

✔  プリン体を制限する
おいしいものに含まれるプリン体。これは細胞の核の部分ですので、同じ重量であれば、細胞の数が多いものにはプリン体が多く含まれます。
よく、「魚卵には多いのよね~」という声を聞きますが、魚卵の1つが1つの細胞です。数えられるくらい大きな細胞ですので、プリン体はそれほど多くありません。
干物は生魚よりもプリン体が多いので、食べないようにしている方が多いですが、水分が抜ける分、多く感じるだけです。適量食べる分にはそれほど気にしなくても大丈夫です。
プリン体に注意する場合は、魚や肉の内臓(白子やレバーなど)を控えると効果的です。

✔  糖類の過剰摂取を避ける
果物やジュースなど、甘いものを食べ過ぎると体内での尿酸の合成が盛んになります。
特に果糖は影響しやすいので、果物のジュースなどは控えに。

✔  お酒を控える
アルコールが、尿酸の尿中への排泄を抑制したり、体を脱水気味にすることで尿酸値が上がりやすくなります。ビールや紹興酒には、プリン体も含まれるので、プリン体摂取量も増えます。

✔  野菜や海藻を積極的に摂る
野菜や海藻をとることで、尿酸を排泄しやすい尿になります。

それ以外にも、運動の仕方でも尿酸値は変動します。
人によって食事のポイントは変わりますので、尿酸値が気になる方は、栄養指導を受けてくださいね。
良いお年をお迎えください。



(No.88)