管理栄養士 中居有紀
当クリニックの位置する東京都八王子市の桜も、見頃を過ぎました。
日に日に暖かさが増していきます。
クリニック正面にある湯殿川の河川敷では、春の陽射しのもと、親子連れや高校生などが休んでいる様子をよく見かけるようになりました。
仕事場や学校など、環境の変化を迎えた人も多いこの季節。
栄養指導の時間にも、「環境が変わり、仕事が忙しくなってろくな食生活をとれていないことが気になっている」といった悩みの声も聞かれるようになりました。
新生活がスタートする人の多い春。生活の変化と連動させて、食生活も春らしく、心身ともに軽くなるようなメニューを食卓に並べたいものです。
5月5日は日本わかめ協会が定めた『わかめの日』。
わかめの健康作用で、軽快な身体づくりを促しましょう!
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■ 世界一海藻を利用する国、日本
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わかめなどの海藻を食べる習慣があるのは、世界でも日本と韓国と北朝鮮の3カ国だけ。中でも日本は、世界で一番わかめを食べる民族といわれています。
そんな日本でのわかめの歴史は古く、紀元前は縄文時代から塩分やミネラル補給の目的で、人々はわかめなどの海藻を摂っていたと考えられています。更に奈良時代、日本最古の法律『大宝律令』には、わかめが租税として納められていたことが記されていたり、また神事などにも奉納品として扱われていたりと、昔はわかめは高級品でした。そして生産手段が発達するとともに、軍事食や救荒食としても利用されるようになり、ますます親しまれていくようになります。
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■ わかめの栄養
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わかめには、主にアルギン酸やヨウ素が多く含まれており、以下のような働きがあります。
・水溶性食物繊維アルギン酸⇒コレステロールを低下させる働き
わかめの「ぬめり」の正体が、この『アルギン酸』です。
アルギン酸は、そのぬめりで腸内のコレステロールを吸着・排出し、脂質異常症や動脈硬化を予防してくれます。
・ヨウ素⇒代謝促進作用
ヨウ素は、甲状腺ホルモンによる新陳代謝の促進に関与しています。皮膚・爪・髪などの新陳代謝を活発にさせ、新しい細胞を作り出したり、また脂肪の燃焼を促進してダイエットなどにも期待されています。
※ただし甲状腺に疾患を持つ方は、ヨウ素を多く含む海藻の摂取の仕方にご注意ください。
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■ わかめの摂り方
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●自宅でお料理に
酢の物やサラダ、味噌汁料理は定番ですが、他にも
・冷奴に添えて
・酢味噌で和えて『ぬた』にする
・ごま油・塩・コショウで和えて『ナムル』にする
など、幅広く料理に応用できます。
●外食
外食やコンビニでは、解消料理が不足しがち。
少しずつでも、海藻を増やす工夫をしてみましょう。
・レストラン
フライ定食やステーキ定食などの洋食でなく、和定食などの方がわかめのような海藻料理が副菜として付いてくることが多く、メタボ化が心配される方には向いています。
・ラーメン屋
「チャーシューめん」や「とんこつラーメン」などのこってりしたものでなく、わかめラーメンなどを選ぶ。そばやうどんの場合も同様です。
・居酒屋
酢の物やサラダなど、わかめの多いメニューを選ぶ。
レバーや卵などのコレステロールの高い食品のメニューを摂る時は、特にわかめ料理の出番です。
・コンビニ
茎わかめのようなつまみ・惣菜や、わかめうどんなどのわかめ入りメニューを選ぶ。
わかめスープを選んだり、インスタントの味噌汁に乾燥わかめを入れる。
栄養指導の時間にも、「意外とわかめを食べていないことに気付いた」という声がよく聞かれます。コレステロール低下作用や代謝促進作用のある『わかめ』。忘れずに取り入れていきましょう。
(№.20)