管理栄養士 中居有紀
「少しくらい太ったっていいから、体に悪くても食べたいもの食べたい…」
栄養指導の席で、そんな声を聞くことがよくあります。
その反面、これも栄養指導の席で…
「何も調味料は使わないで、ただほうれん草をじっくり煮込むだけで、ものすごく美味しいのよ」
と教えてくれた方もいました。
自然と健康的な食生活が根付いている人と、健康的な食生活に「強制されたくない」という気持ちを持つ人。せっかくなら健康的な食生活を楽しみながら健康的な身体づくりをしていく方が、心身ともに充実した生活が送れるでしょう。
調味料を駆使した料理上手も魅力的ですが、そもそも素材そのものの味を楽しむことができたら、自然に調和した身体で健康的な生活を送ることが出来ます。
食事のおいしい秋の季節、素材の味を改めて楽しんでみるのはいかがでしょうか。
今日はそんな秋の素材を楽しめる味覚、秋刀魚についてです。
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■ 好きな魚の定番、さんま
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その漢字を見てもわかるとおり、秋刀魚は秋を代表する魚です。「秋刀魚が好き!」という方は大変多いようですが、とあるアンケート調査でも『好きな魚、第一位』に秋刀魚が挙げられています。(次いでマグロ、鮭…と続く)
焼き秋刀魚や秋刀魚の刺身など、美味しく素材を楽しむことが出来ます。
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■ さんまの栄養
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「青魚は身体にいい」と聞いたことがあるかもしれません。この青魚には、DHA・EPAといった脂が多く含まれています。DHAやEPAは血液をサラサラに保ち、中性脂肪やコレステロールを低下させるのに働くと考えられています。またDHAは、脳細胞の働きを活発にして、学習能力を向上させ、老化抑制や認知症予防にも働くと考えられています。これは秋刀魚も同様で、これらの良質な脂を多く含みます。
また秋刀魚は良質なタンパク質である他、カルシウムの吸収促進や、骨や歯の成長促進を助けるビタミンDなどが多く含まれています。
ただし秋刀魚は脂がのっている分、カロリーも比較的高い魚です。例えば、一般的に売られている切り身の鮭に対し、秋刀魚の可食部のカロリーは、その倍以上のカロリーとなります。
( ※切り身鮭の可食部(90g):約120kcal、秋刀魚の可食部(90g):約250kcal )
少し量にも気をつけながら、素材の味を楽しみたいものです。
栄養指導でたくさんの方のお話を伺っていると、文頭に挙げた2者を分けるのは、子供時代に囲んだ食卓が大きく影響していることが多いように思います。子供のうちから、素材の味を楽しむ食卓を囲みたいものです。