2017年8月
管理栄養士 森 幸恵
今年の8月は、梅雨のように雨が多かったですね。暑くなったり、寒くなったり体もビックリしてしまいます。「テレビで、こんな食品がいいと言っていたんだけど」、「トクホって、たくさん摂るといいんでしょ?」「炭水化物、摂ると太るんでしょ?」
食事については、皆さん日頃から興味があるようで、色々な質問をいただきます。
色々なダイエット方法、食事療法が出てくるので、お答えに迷ってしまいます。
そんな中でも、このところ流行った食事といえば、「低炭水化物食」です。
文字通り、食事における炭水化物の割合を減らす食事です。
低糖質、ローカーボ、ロカボ、など色々な別名があります。
この食事が流行ったおかげで、「炭水化物」という名称が世の中に知れ渡ったのは良かったと思います。
食品は、三大栄養素の組み合わせで出来ています。
1.炭水化物(エネルギー源)・・・・・ごはん・パン・麺類・芋類・砂糖など、糖や主食に多く含まれます
2.たんぱく質(体をつくる)・・・・・肉・魚・卵・乳製品・大豆製品など動物性食品に多く含まれます
3.脂質(エネルギー源)・・・・・・・・・油脂・ナッツ・バター・マヨネーズなどに多く含まれます
4.ビタミン(体の調子を整える)、5.ミネラル(体の調子を整える)も入れると五大栄養素になります。
炭水化物を控える食事が流行った背景には、炭水化物が持つ特徴があります。それは「速やかにエネルギーになりやすいこと」 という特徴です。
この特徴により、エネルギーを摂ることが難しい時代には何よりも必要な栄養素だったと思います。現在の日本では、エネルギーの摂り過ぎが問題になるので、炭水化物の特徴が悪者のように思われてしまいます。
では、炭水化物を減らすとどうなるのでしょうか?
まず、食事におけるたんぱく質・脂質の割合が増えます。
たんぱく質は、筋肉など体を作るための材料になりますが、 過剰に摂った分は、エネルギーとして利用されます。
炭水化物と違って速やかにエネルギーとならず、エネルギーになるのにエネルギーを使います。効率の悪いエネルギー源ですが、それを利用して減量に繋げているようです。
ただ、弱点もあります。
たんぱく質には、窒素(N)やリン(P)も含まれますので、それらを処理するのに、肝臓が働き、腎臓でろ過をしてという工程が必要になります。
血液中に尿素窒素のような毒素が増えやすくなったり、腎臓に負担がかかりやすくもなります。
更に、たんぱく質(肉や魚)を多めに摂ると、もれなくついてくるのが油脂です。
油脂も人の体に必要な栄養素ですが、たくさん摂り過ぎると動脈硬化が心配です。
肉・魚といったおかずには、味付けも必要となるので、主食(ごはんなど)を摂らない食事よりも塩分が多くなりがちです。
肉・魚などのたんぱく質は、消化されるとほとんど残りかすが出ないので、たんぱく質が多い食事は、便秘にもつながりやすくなります。
逆に、炭水化物しか摂らない食事を続けていると、食後に血糖値が上がりやすくなったり、血液中の脂質(中性脂肪)が増えやすくなります。炭水化物(主食)を摂る時は、出来るだけ精製度が低いもの(ごはん→玄米、小麦→全粒粉など)が良いとされています。玄米だと、炊くのにコツが必要だったり、外見や食味も白米とだいぶ違いますので、ごはんに大麦を加えて炊くのも手軽でオススメです。
炭水化物×たんぱく質×脂質をバランス良く摂ることが非常に重要です。
量やバランスなどについて詳しく聞きたい方は、先生にお話ししていただいた上で、個別の栄養指導にお越しください♪