2016年8
月20日
管理栄養士 中居有紀
例年に比べると、比較的暑さが気にならなかった今年の8月。
それでも真夏日の続いた8月上旬、本当に暑い中、栄養学講座には栄養に関心のある方々が集まってくれました。頭が下がる想いです。
今回の講座のテーマは、尿酸値改善・痛風予防のための食事のとり方について。
日頃から尿酸値が少し高めなのが気になっている方から、既に辛い痛風を3回も患ったという方まで幅がありましたが、痛風の経験のない方は、リアルな痛風エピソードを聞いて、身も引き締まったようでした。
“風が吹くだけで痛い”…という痛風。
特に暑さが増す夏は、汗をかいて体内の水分が失われやすく、結果的に尿酸値が上がりやすい季節です。
そこで、今月のコラムのテーマも、“尿酸値を上げない食事のとり方について”掲載します。
尿酸値が上がると・・・?
尿酸の基準値は、
男性:3.8?7.0 mg/dL 女性:2.5?7.0 mg/dL
です。尿酸は、健康な時は、血液中に流れていても、増えすぎると、針状の結晶になって沈着し、それが痛風発作のもとになります。だからこの値を常に超えているという方は、痛風にならないように、注意が必要です。
ちなみに腎機能が落ちていると言われたことのある方も、ご注意ください。
腎臓がうまく働いていないために尿酸の排泄が十分に出来ず、そのために尿酸値が高くなってしまっている人も多くいます。腎臓について指摘されたことのある方は、腎臓の方も食事対策についても注意しましょう。
尿酸値を上げないための食事のポイント 5つ
1.腹7分目までにする
お酒を飲んでいないのに尿酸値がいつも高いという方は、カロリーのとり過ぎに心当たりはありませんか?
別名“贅沢病”“金持ち病”とも呼ばれてきた、痛風。
それだけ高脂肪・高タンパク・高カロリーな食事が高尿酸血症及び痛風を招くということです。下記、出来ることからカロリーダウンにつなげていきましょう!
□食事は腹7分目(「もうちょっと食べたいな」というところ)までにする
□高カロリーになりがちな外食は控えめにする
□揚げ物・お菓子・くだもの・砂糖を控えめにする
□野菜・海藻・きのこはたっぷり摂る
□肉より魚を選ぶ
□ゆっくりよく噛んで食べる
□寝る3時間前までには食べ終わらせる
2.プリン体の多い食品を控える
尿酸の材料は、プリン体です。プリン体を代謝した結果、生じる燃えカスが…尿酸。
だから尿酸値を下げるためには、プリン体の多い食品を控えることもとても重要!
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』に示されている“プリン体の多い食品”は、下の通り。肉は内臓以外の部位を、魚なら干物より白身を選ぶと良いでしょう。
▼プリン体の多い食品
レバー、マイワシ干物、イサキ白子、あんこう肝酒蒸し、かつお節、煮干し、干し椎茸、カツオ、イワシ、大正エビ、マアジ・サンマの干物
またプリン体は、水に溶けやすい性質があります。煮干し、かつお節、干し椎茸を使っただし汁には、プリン体がたくさん溶け出しています。ラーメンのスープなど、だし汁や煮汁は出来るだけ口にしない方が良いでしょう。
3.アルコール飲料を控える
尿酸値に関しては、
ビールだけでなく、どんな種類のお酒も好ましくありません
。
「尿酸と言えばビール」というイメージが強く、栄養指導の席でも「尿酸値が気になるからビールじゃなくて焼酎にしてます」などという声が聞かれます。
実際ビールには、他の酒類と比較するとプリン体が多く含まれていますが、ビールに限らずお酒の成分そのものが、体の中で体の中で大量の尿酸を作り出すと同時に、尿酸が排出されにくくしてしまう働きをもちます。さらにはエネルギーが高く、肥満や糖尿病の原因にも。
出来る限り、「2杯目からはノンアルコールビール!」などにして、アルコールを控えましょう。
4.水分を積極的に摂る
3までと違い、控えるのではなく、たくさん摂った方がいいのが水分。
冒頭に書いたように暑い時期は大量の汗をかき、また排泄される尿量も減るため、結果的に尿酸値が上がり、痛風発作が起きやすくなります。尿酸排泄のためにも、積極的に水分を摂りましょう。1日2リットルが目標です。(当院患者さんの中には、1日1本の2リットルペットボトルを用意し、1日の中で飲み切るようにして量を調整されている方もいます)水分は、水かお茶で摂取しましょう。
5.尿をアルカリ性にする食品を摂る
尿が酸性に傾くと尿酸が溶けにくくなり、結晶化しやすくします。だから尿をアルカリ化する食品を積極的に摂りましょう。
アルカリ化する食品は、
ひじき、わかめ、昆布、干し椎茸、大豆、ほうれん草、ごぼう、にんじん、バナナ等。
逆に酸性化させる食品は、
卵、豚肉、サバ、牛肉、カツオ、ホタテ、ブリ、マグロ、サンマ等。
上手に食生活に取り入れるようにしましょう。
いかがでしょうか?
まずは食べ過ぎ&飲み過ぎ注意です。
健康な身体で残暑も乗り越えましょう♪