医療コラム
本当にお酢で、健康になるのか?
2018年12月
管理栄養士 中居 有紀
管理栄養士 中居 有紀
12月に入り、寒さが強まりました。
寒いのに、年末年始に控えたイベントごとや冬休み準備で、あまりのんびりはしていられないこの時期。
せめて体は快適でいて欲しいので、食事も体にやさしいものを摂るようにしてください。
先月のコラムでお伝えした、人気健康食『酢玉ねぎ』。
先月は、玉ねぎの栄養についてお伝えしましたが
今月は“酢”の方に注目してみます。
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「健康のために、酢を使っています」
栄養指導の席で、こうお話しされる方が多くいます。
「すっぱい味が苦手で…もっと酢を使わないとダメですね」
酢を使っていないことに罪悪感を持っている方まで、時々います。
健康のために食事を工夫する、というのはとても大切なことですが、
酢を使う→健康になる というわけではありません。
不健康な食生活をしていて、一品だけ酢の料理を加えても、
残念ながらほとんど栄養的な意味はありません。
酢は、上手に置き換えることで、意味が出てくるように思います。
酢を有効に活用するためにも、置き換え方を工夫してみてください。
調味料を、酢に置き換える
醤油の代わりに酢醤油を使う
醤油にお酢を2:1で加えたものを、醤油さしに入れて常備しておく
これを醤油の代わりに使えば、塩分を少なくでき、酸味のきいた減塩醤油が出来上がり。
(当クリニックでも人気の方法です!)
ポン酢の代わりに減塩ポン酢を使う
ポン酢に、好みの割合で酢を加えると、やはり塩分が少なくなった、減塩ポン酢が出来上がり。
普通のポン酢だけでも、醤油を使うより減塩になりますが、さらに酢を加えることで、より減塩になります。
三杯酢も利用
酢2:みりん2:醤油1 などの調合比率で、三杯酢を作ります。
ドレッシングの代わりに使っても減塩に役立つほか、ピクルスや南蛮漬けに用いても減塩につながります。
ソースの代わりに
ウスターソースに酢を加えると、バルサミコ酢風になります。
サラダのドレッシングとして使ったり、パスタや炒め物に混ぜ合わせるソースとしても使うことが出来ます。
酢は、醤油やドレッシングなどの代わりに使ったり、または酢で薄めたりすることで、
減塩に役立つというメリットがあるほか、
カロリーが低く、健康にも役立てやすい調味料です。
(※ただし最初から酸味を抑えられたようなタイプのお酢は、砂糖などが加わっていてカロリーが少し高めになっているものもあるので、注意)
日ごろの食事で、塩分の効いた料理や油っぽい料理を置き換えて、
酢を使った料理にすると、生活習慣病予防につながっていきます。
酢を使ったメニューは…
・ブリの甘酢照り焼き
・鶏肉の黒酢炒め
・肉詰めピーマンの甘酢照り焼き
・なすの浅漬けに酢を加える
・中華スープの醤油を減らして酢を加え、酢辣湯風スープ
・黒酢チャーハン
ほか、野菜を梅酢、だし酢、ごま酢で和えるのも良し。
酢の物だけでなく、いろいろな使い道を考えてみてください。
酢の働き
上記の通り、減塩にもカロリーカットにもつながるお酢ですが、
それとは別に、酢についての研究報告が挙げられています。
◆内臓脂肪が減る
肥満傾向の人がお酢を継続して摂ると、脂質の燃焼を促進する酵素が活性化され、内臓脂肪や体重、腹囲が減少したという報告があります。お酢を毎日大さじ1杯程度摂ると、ダイエットへの効果が期待されます。
◆血圧が下がる
同様に大さじ1杯程度のお酢を継続して飲むと、血圧が下がったという報告があります。酢酸が代謝される際に、血管を拡張させる成分が生成されることが原因と考えられています。
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冒頭に戻りますが、話題の“酢玉ねぎ”は、酢と玉ねぎを組み合わせることにより、別の働きが起きたり、強い効果が表れるわけではないようです。
ただし酢と玉ねぎ、それぞれの良さが組み合わさって健康に働くことにつながりそうです。
早速クリスマスやイベント料理で、活用してみてください。
お肉やなべ物のつけダレとして、またハンバーグや唐揚げにつけて、トマトサラダにかけたりマリネとして、サンドイッチの具材にも…
予め冷蔵庫に用意しておけば、かなり役立ってくれそうです。
それでは、良いお年をお迎えください。