2017年5月20日
管理栄養士 森 幸恵
若葉の鮮やかな季節となりました。
お休み中の中居に代わりまして、しばらく担当させていただきます。
スーパーの油コーナーには、たくさんの種類の油が売られています。
その中でも、「コレステロールゼロ」と大きく表記されているものが目立ちます。なんだか他のものと比べて体に良さそう・・と思う方も多いかと思います。
今回は、油の種類や特徴について確認をしていきたいと思います。
主に常温で固形のものを脂、常温で液体のものを油としています。
油は、体の中でエネルギー源として使われたり、ビタミンの吸収を良くするなど色々な働きをしています。
植物油・バター・ラードなどは、中性脂肪と言われており、グリセロール+脂肪酸で出来ています。
ここで、多くの方にとっては意外だと思われる事実をひとつ。
実は、植物性の油には、コレステロールがほとんど含まれていません。
含まれていても、油100g当たり1-2mg。バターのコレステロールが100g中210mgであることを考えると、ゼロにほど近い数値です。
コレステロールがゼロのものを選びたいのであれば、植物油のどれを選んでも良いということになります。
では、どの植物油であっても、血液中のコレステロール値に同じように影響するのでしょうか?
体の中に入ってからの油の働きは、油の成分である脂肪酸の種類によって異なります。
オレイン酸、リノレン酸、リノール酸などと呼ばれているのが脂肪酸です。
脂肪酸は数十種類あり、油の種類によって、この脂肪酸の量と種類が異なります。
オリーブオイルやなたね油は、オレイン酸という脂肪酸を多く含みます。オレイン酸は、一般的にLDL(悪玉)コレステロール値を下げやすくすると言われています。
少し前に流行した、えごまオイルやアマニオイルは、魚に含まれるDHAやEPAといった脂肪酸に似た、αリノレン酸が多く含まれます。DHAやEPA、αリノレン酸は、人間の身体では作り出せない脂肪酸(必須脂肪酸)です。これらは、心血管疾患のリスクを下げるなどと言われていますが、酸化されやすく加熱調理に向かないなどの弱点もあります。
ごま油や米油、グレープシードオイルなどのほとんどの植物油は、主にリノール酸を多く含みます。このリノール酸も必須脂肪酸なので、適度に摂ることは重要です。普通に食事をしていて摂りやすい油なので、極端に油を制限していなければ、不足をすることはそれほどありません。むしろ摂り過ぎてしまうと、LDL(悪玉)コレステロール値を上昇させてしまいます。
人間の身体に必要な油。カロリーは、1g当たり9kcalです。オリーブオイルでも、えごま油でもすべて同じです。(バターには、水分が含まれますので、1g当たり約7.5kcalとなります。)たんぱく質や炭水化物と比べて、1g当たりのカロリーが倍近い為、油を摂り過ぎてしまえば、肥満の原因となり、結果的にコレステロール値も上がりやすくなるので注意が必要です。
血液中のコレステロール値が気になる方であれば、植物油はコレステロールゼロのものを選ぶよりも、油自体のカロリーも気にしつつ、脂肪酸の特徴で選んでみてください♪
(No.81)