2017年3月20日
管理栄養士 中居有紀
少しずつ暖かくなり、東京では桜の開花も近づいてきました。
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No.79
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今年の春野菜は、もう召し上がったでしょうか。
来たる3月20日春分の日は、
「自然をたたえ生物をいつくしむ日」として定められています。
春分の日らしく、お花見をはじめ、登山などのアウトドアを満喫したり、ペットをいつも以上に可愛がってあげたり…という人もいるかもしれません。
自然から採れた食材に感謝の気持ちを込めておいしくいただく、というのも一つの春分の日の過ごし方かも…?
そんな3月号では、春の食材の栄養ミニ知識をお伝えします。
春野菜の栄養
「春の皿には苦味を盛れ」
ということわざがありますが、春野菜には苦味のあるものが多いのが特徴。
冬の間に溜まった脂肪や毒素などの老廃物を排出し、代謝を高めていくのを助けるのが、春野菜です。
そんな春野菜に多いのが、植物性アルカロイド。これが春野菜特有の苦みのもとで、解毒作用や新陳代謝を促進する働きがあります。
また代表的な春野菜6種と、それぞれに特徴的な成分をまとめました。
■菜の花
・イソチオシアネート:アブラナ科の植物に含まれる辛み成分の一つで、ガンの予防に働くと考えられている
・葉酸:DNAの合成に関わり、妊娠中の女性の胎児の発育に重要。また赤血球の合成に関わり、「造血のビタミン」とも呼ばれる。
■うど
・クロロゲン酸:タンニンの一種で、苦味成分。抗酸化作用があり、動脈硬化等の予防に働くほか、抗がん作用を持つ成分としても注目されている。
・アスパラギン酸:疲労回復効果があるとされ、栄養ドリンク剤などによく利用されている
■たらの芽
・ビタミンK:カルシウムの骨への沈着を助けるほか、血液凝固因子を活性化して出血を止める働きがある。
・銅:約10種類の酵素の材料になって貧血を予防したり、活性酸素を除去したり、神経伝達物質の産生に働いたりと、多くの機能に関与する。
■たけのこ
・不溶性食物繊維:胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、排便を促す作用のほか、発がん性物質などの腸内の有害物質を体外へと排出させる働きを持つと、考えられています。
・チロシン:茹でたたけのこを切ったときに出てくる白い粉の正体、チロシン。やる気を高めたりストレスを軽減する作用があります。
■ふきのとう
・フキノール酸:苦味成分であるポリフェノール類の一つ。血液中のヒスタミンを低下させ、鼻水や咳などの花粉症症状に効果があるとされ、サプリメントとしても発売されています。
・フキノリド:ふきの匂いの成分。胃腸から消化液を分泌されるのを助け、胃腸の働きを良くすると考えられています。
■春キャベツ
・キャベジン(ビタミンU):胃腸の粘膜の新陳代謝を活発にし、傷ついた組織を修復する。胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの予防・改善に働き、薬の名前にもなっている。
・ビタミンC:強い抗酸化作用を持つため血管疾患等の予防に働くほか、コラーゲンを生成する上で不可欠。キャベツには、100g中41mgのビタミンCが含まれており、キャベツの葉を2~3枚食べると、1日必要な量を満たすことができます。特に外側の葉と芯に多く含まれています。
春野菜には、他の時期にはない栄養的な魅力がいっぱい。
春分の日は、自然をたたえるべく、春野菜を堪能してみてください。
春野菜の力を借りて、皆さまの身体も新年度スタートにふさわしい
快活な身体になりますように。