2016年11 月19日
管理栄養士 中居有紀
クリニック周辺でも、落ち葉が季節を感じさせてくれるようになってきた11月。
息が白い日も少しずつ増えてきました。
野菜いっぱいの、あったか鍋が美味しい季節。
ですが栄養指導でもよく聞かれる「野菜が高い」という声、ここ最近は特に多く聞かれます。しばらく相次いでいた台風の上陸や長雨の影響で野菜の価格が高騰しているようです。
そんな中でも旬の野菜は少し、価格が手頃なものが多いですね。
寒くなるこれから旬を迎える野菜の一つが、水菜。
栄養価が低いと思われることが多いですが、実はれっきとした緑黄色野菜なのをご存じですか?
今日はそんな鍋野菜の代表格、水菜の特徴についてご紹介します!
●水菜(京菜)
肥料を使わずに、水と土だけで栽培されていたからその名がついたとされる
“
水菜“。
古くから関西で栽培されてきたので、
“
京菜“という呼ばれ方もします。
寒さに強い野菜で、主に12―3月が旬の水菜は、冬の野菜不足対策としても親しまれてきました。
おいしい水菜の選び方 3箇条
・葉がピンとしている
葉や茎がみずみずしく張りがあり、葉先までピンとして、しっかりと切れ込みのあるもの
・葉の色が青々として鮮やか
黄色くなっていたり黒ずんでいるものは、古いものです
・株の根元が白くきれいなもの
根本が茶色っぽくなっているものは、鮮度の落ちているものです
また水菜の袋に水滴が多くついて湿っているものは、時間が経って鮮度が落ち、水菜からの水分が抜けているものです。
袋に水滴がついていないものが新鮮です。
●水菜の栄養
カルシウム
水菜のカルシウムの量は、野菜の中ではトップクラスです。100g当たりのカルシウム量で比較すると、カルシウムが多いことで知られる小松菜以上のカルシウム量。
カルシウムは、骨や歯を丈夫にしたり、筋肉の動きやホルモンの活性化などを調整します。カルシウムは熱に弱くないので、加熱して食べても生食でも大丈夫。ビタミンDの多いイワシや紅鮭、サンマと同時に摂るようにすると、より吸収されやすくなります。
葉酸
水菜の葉酸の量も、野菜の中ではやはりトップクラス。名前の通り葉物野菜に多い葉酸、ほうれん草や春菊に次いで、水菜に多く含まれています。
ただし光や熱に弱いため、葉酸をとるためには生食がベスト。サラダや和え物など、生で食べると、より多くの葉酸が摂れるようになります。
葉酸は、DNAの合成や細胞の新生に関わるため、妊娠初期には特に必要な栄養素として知られています。また赤血球の合成に働く「造血のビタミン」とも呼ばれ、ビタミンB12の多いアサリやイワシ、サンマと相性が良いので、一緒に食べると効率よく働きます。
カロテン
水菜100gあたりに含まれるカロテンの量は1300μg。これは緑黄色野菜の基準に当てはまるため、一見淡い色に見える水菜も、れっきとした緑黄色野菜の一つです。
カロテンは体内でビタミンAとして働きますが、ビタミンAは粘膜の乾燥を防いで細菌感染の予防に働いたり、暗いところで視力がきかなくなる夜盲症なども予防するとされています。
カロテンは脂溶性のため、油に溶けると吸収が良くなります。炒め物にして食べれば、吸収率が良くなります。
寒くなって来る、これからが旬の水菜。
栄養がたくさんつまった健康にうれしい野菜です。
おいしい水菜を賢くとって、忙しい師走も元気に乗り切りましょう!