長袖がちょうど良い気候が、続くようになりました。
クリニックでは毎月集団栄養指導を開催していますが、肌寒さを感じる気候とは対照的に、心身ともにパワフルな方の頼もしいお話を聞かせて頂いています。
家事を全然してこなかった80代の男性が、お皿洗いをするようになったことで料理で使う“油の多さ”を再認識し、健康の大切さを再発見したのを教えてくださり、またある70代の女性は「やりたいことが多過ぎて悩む時間もないくらい、一日が充実して過ぎていくんです!」などと教えてくださいました。
集団栄養指導は、毎回そんな健康や生活に前向きな方々が参加されています。前回は『動脈硬化予防』のテーマについて開催し、和気藹々と情報交換が行われました。その中でも特に話題の中心となったのが、にんにく。
今回のコラムは、そんなニンニクがテーマです。
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紀元前1500年以前に書かれた世界最古の薬物治療書『エベルス パピルス』には、既にニンニクが、疲労や神経系疾患の治療薬として記載されていたのをご存じでしょうか?古代エジプトから重宝されてきたニンニク、現代に至るまで新たな研究報告が更新されつづけています。
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ガン予防効果が一番高い食材、ニンニク
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1990年にアメリカの国立ガン研究所が、デザイナーフーズ・ピラミッドというプロジェクトを発表しました。ガンを予防する効果の高い食品40種類が、効果の高い順に示されていますが、そのピラミッドの頂点にいるのがニンニクです。DATS(ジアリルトリスルフィド)という成分が、ガンの増殖を抑え、細胞自体を正常にする働きがあるという研究の結果がわかっています。
実際にその後の研究でも、ニンニクを日頃からたくさん食べている人の方が、食べていない人と比べて、ガンの発症率が低いこともわかっているそう。特に、自分はガン家系と思う方、ガンが気になる方は、ニンニク、要チェックです。
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血液サラサラのお手伝い
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ニンニクは、水溶性食物繊維という成分の多い食品としても、超トップクラス。水溶性食物繊維は、コレステロールを抑え、いわゆる“血液サラサラ”な状態に近づけてくれることで、動脈硬化の予防に働きます。またニンニクには、抗酸化作用という働きも。血管の老化を防ぎ、丈夫な血管を維持するのに役立ち、動脈硬化の予防を助けてくれます。
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スタミナづくりのお手伝い
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ビタミンB1が多い食品としてもよく知られているニンニク。ビタミンB1は、食べた糖質が体の中でエネルギーに変わる時に必要な栄養素。だから、ビタミンB1を不足しないようにとることで、体を疲れにくくしたり、回復を早めてくれるのに役立ちます。
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なんとなく馴染みのないニンニク。どうやって食べたらいいの…?
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匂いが強く、敬遠されることもあるニンニクですが、ニンニクそのものをムシャムシャ食べなくてもOKです。
・薄切りにしたニンニクを、オリーブ油で軽く炒め、保存容器に入れて冷蔵庫に冷やしておく。→サラダや冷しゃぶなどの上にぽん酢などと合わせてかけて食べる。
・きのこやほうれん草、アスパラやナスなどの炒め物にも、スライスしたニンニクを一緒に炒めたら、風味も栄養もアップ!
・たまねぎやチンゲン菜などのスープに、みじん切り(またはスライス)したニンニクを一緒に入れても◎
古代から医食同源の代表、ニンニク。
敬遠して食べないのは、とてももったいない食材です。ご自分に合った方法で食生活に取り入れてみてください。これからやってくる寒い時期に備えた、体づくりのご参考になりますように…♪
(No.49)