医療コラム

ファストフードと食文化

管理栄養士 細田 彩香

1世紀近く前にアメリカで生まれたファストフード企業は、日本の食文化に大きな影響を与えています。いまやファストフードは現代人にとって、どこにいても目にするほど馴染み深いものとなりました。子供から大人まで一度は口にしたことのある食べ物といえます。“安く手軽に”をキャッチフレーズにした食事の裏側に何が隠されているのでしょうか。ファストフードのほとんどが高カロリー、高脂肪です。それは、現代の日本人が悩まされ続けている生活習慣病の原因となっている食事のあり方そのものです。数年前のBSEや狂牛病に引き続き、最近では食肉偽装事件が世間を騒がせています。その中で食肉や加工食品の安全性、信頼性についてよりいっそうわたしたちに疑問を投げかけています。ファストフードもまた、製造過程の安全性については作る側と食べる側の信頼関係が築けていないのも事実です。
 わたしたちは、“食生活の安さ手軽さ”と引き換えに大切なものを失っています。それは、スローフードともいえる日本の伝統料理、家庭料理の温かさです。日本の和食は、その土地の素材を活かし、旬の食材をふんだんに使ったメニューも多く栄養バランスに富んでおり、わたしたちの体に安心と恵みを与えてくれます。
 日本のすばらしい食文化を大事にし、わたしたちの体が本当に必要としている豊かな食事を求めていくことはとても大切なことです。
 忙しい毎日だからこそ“安さ手軽さ”だけではなく、栄養バランスのとれた食事を一人ひとりが選択していくことはとても重要な意味をもつのです。

  2007/11/22   澤渡循環器クリニック