医療コラム

玉ねぎで血液サラサラになる…?


2018年11月
管理栄養士 中居 有紀

「健康のために酢玉ねぎを食べています」
…栄養指導では、そんなお声をよく聞きます。

“酢玉ねぎ”は、ここ数年でいくつかのテレビの健康番組で紹介されたようで、
テレビで紹介されたものの中でも、
特に実行されている人が多いようです。



作り方は番組によっても異なり、
みじん切りにして空気にさらした玉ねぎを酢とはちみつで軽く煮る、
あるいはスライスして空気にさらしたたまねぎを酢とはちみつに1~2日漬け込む、
など。

どうにしても、多めに作って常備菜として冷蔵保管し、
玉ねぎの健康効果を手軽に生かしていこうという考え方のようです。

患者さんも多く利用されているこの玉ねぎについて
コラムでも振り返ってみます。





玉ねぎの“血液サラサラ”作用


サラサラ成分1:ケルセチン
玉ねぎには、ケルセチンという成分が多く含まれます。
このケルセチンやケルセチンに似た化合物(フラボノイド類)をたくさん摂る人は、心筋梗塞で亡くなる割合が少なかったという報告があります。
またケルセチンを多く摂っている人は、LDLコレステロールの数値が低かったという調査結果もあります。

これらのことから、玉ねぎにはいわゆる“血液サラサラ”の働きがあると考えられています。
玉ねぎ種類や産地、時期などによって変わってきますが、
玉ねぎの“血液サラサラ”作用は、少なくとも他の野菜よりも期待できそうです。
品種改良されて、特にケルセチンを多く含む玉ねぎもあるため、利用してみるのも良いかもしれません。




サラサラ成分2:硫化アリル
玉ねぎの匂いや辛み、涙の原因成分『硫化アリル』。
硫化アリルにも、動脈硬化を予防する、血液をサラサラにする働きが報告されています。
 
ガンの予防にも…?
アメリカ国立がん研究所が提唱した“デザイナーフーズ”計画において、ガンの発生を防ぐための食品リスト上位に玉ねぎが取り上げられています。
このほか、欧米や中国などの研究機関が行った多くの調査でも、玉ねぎのガン予防効果が報告されています。



料理のポイント


◆生で食べる
上記に挙げたケルセチンは、加熱しても構造が壊れにくく調理してもほとんど壊れない特性があります。これに対し、硫化アリルは加熱すると失われてしまうため、硫化アリルを活かすには、生食が一番。

◆繊維に対して垂直に、かつなるべく細かく切る
血流改善効果につながります。

◆切ったら、水にさらさず空気にさらす
水にさらすと硫化アリルは溶けだしてしまうため、切った後水にさらさないで、空気にさらしましょう。硫化アリルは非常に揮発性が高く、常温で空気にさらすだけで辛みが抜け、味が安定します。





*****

“血液サラサラ”や“動脈硬化予防”など、循環器に作用するから、当クリニックの患者さんにも実行されている人が多いのかもしれません。

薬ではないので即効性があるものではないですが、
日々の食生活に積極的に取り入れると、
お食事もまた健康的なバリエーションが広がって、楽しくなりそうです。

今回も、みなさまの健康のお役に立てますように。