医療コラム

食事と薬の危険な組み合わせに注意

2015年10月20日
管理栄養士 中居有紀

 

朝晩と空気の冷たい日が増え、外のお散歩も気持ちよく感じられる
秋の季節になりました。

栄養指導の席でも、今はいい時期だからと、
秋空の下でのお散歩を楽しむ声も多く聞かれます。

 

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そんな10月もあと10日ほどで終わりますが、
ただいま『薬と健康の週間』の時期なのをご存じですか?

厚生労働省により、10月17日(土)から10月23日(金)にかけて、“薬と健康の週間”として制定されています。
薬剤師を中心に、医薬品を正しく使用することの大切さなどが啓発された一週間。

医薬品は、病気やケガを治すのに役立つ一方で、間違った使い方をすると健康を損なう危険もあるものです。特に日頃の何気ない食事と薬の飲み合わせが悪い場合には、薬が効き過ぎたり、あるいは効かなすぎたりして、思わぬ副作用を起きてしまうことも。どんな組み合わせが良くないのかを少しでも把握しておくことが大切です。

そこで今日はその代表的なものについて、取り上げてみたいと思います。

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 薬と食品の相互作用
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■納豆+ワーファリン(血液を固まりにくくする薬)

納豆などのビタミンKを多く含む食品(ほかクロレラ、ブロッコリーなど)と、ワーファリンの組み合わせで、ワーファリンの働きが悪くなることがあります。ビタミンKの血液を固まりやすくする作用によりワーファリンの働きが低下してしまい、血液が凝固しやすくなります。

 

■グレープフルーツジュース+ニフェジピン(血圧を下げる薬)

グレープフルーツジュースとニフェジピンなどのカルシウム拮抗剤の組み合わせで、薬が効き過ぎてしまうことがあります。グレープフルーツの果肉に含まれる成分が、肝臓で薬が代謝されにくくしてしまい、薬の血中濃度を上げてしまう結果、薬の効き過ぎにより、血圧が下がったリ、頭痛、めまいなどの症状を引き起こすことがあります。

 

■牛乳+テトラサイクリン(抗生物質)

牛乳とテトラサイクリンなどのテトラサイクリン系抗菌薬(ほかニューキノロン系抗菌薬、セフェム系抗菌薬)の組み合わせで、薬の成分が牛乳のカルシウムと結合して、薬の吸収や働きを低下させる可能性があります。

 

■チーズ+シメチジン(消化性潰瘍用剤)

チーズとシメチジンなどの消化性潰瘍治療薬(ほかイソニアジドなどの抗結核剤、イミプラミンなどの抗うつ薬など)の組み合わせで、チラミン中毒(顔面紅潮、頭痛、急激な血圧上昇など)が起こる可能性があります。薬が、チーズに大量に含まれているチラミンを分解しずらくしてしまうために起こります。

 

■コーヒー+フルボキサミン(抗うつ・不安薬)

コーヒー(ほか紅茶、緑茶などカフェインの多いもの)とフルボキサミンのような精神神経薬の組み合わせで、体の中のカフェインが分解されにくくなり、中枢神経刺激作用(神経過敏、いらいら、不眠など)が起こることがあります。

 

■緑黄色野菜+ワーファリン(血液を固まりにくくする薬)

ビタミンKを多く含む緑黄色野菜(特に緑色のパセリやブロッコリー、ほうれん草や小松菜など)は、一度に大量に食べると、ワーファリンの効果が弱くなってしまう可能性があります。一度に大量には食べずに、毎日小鉢程度に抑えると○。

 

■アルコール+アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)

アルコールはあらゆる薬剤と、吸収や代謝の段階で影響し、血中濃度を大きく変化させてしまうため、薬とお酒を一緒に摂るのは避けた方が○。アルコールは、特にアセトアミノフェンのような解熱鎮痛薬(ほかアセトヘキサミドなどの糖尿病用剤、アミトリプチリンなどの精神神経用剤、セフメタゾールなどの抗生物質製剤など)の組み合わせで、血液中の薬の濃度が高くなって薬が効き過ぎて副作用につながったり、またアルコールが分解・代謝されにくくなってしまうために頭痛・嘔吐・顔面紅潮などを起こすことにつながる可能性があります。

 

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以上が代表的なものです。
詳しくは、医師・薬剤師・管理栄養士に、ご相談ください。


季節の変わり目ですが、体調壊さないようにご自愛ください。

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