医療コラム

震災一年、ヒトと水と。

管理栄養士 中居有紀

3月11日をもって、東日本大震災発生から一年を迎えました。

この震災をきっかけに
日本人のライフスタイルや災害対策への考え方が変わろうとしていますが
『食』の問題もまた去年から注目されている大きな一つです。
 
大都市圏で一時的に発生した食料供給不足の問題や
非常用飲食料の準備の見直し、
原発事故による作付制限や損害による農漁業のあり方
また避難生活における体力・栄養状態の低下や免疫力の低下への予防策の見直しや
家族で囲む食卓のあり方まで。


食を取り巻くたくさんの大切なことが震災をきっかけに見直され
食と生命とが密接に関わっていることを改めて知る機会となりました。

この大きな震災を忘れずに、これからも好ましい食のあり方について
考え続けていきたいものです。

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特に忘れてはならない、水。
東日本大震災の経験者の方の中には、「揺れが収まったら、まず一番に水を溜めろ」という声があるくらい、
水は必要なもの。

今回は、体を造るうえで基礎となる、
『水』についてがテーマです。


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■ ヒトと水の歴史
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地球が生まれ、何十億年と地球を循環し続けている水。
日本国内でも人と水との関わりに、様々な歴史があります。

水辺に暮らして貝を採ったり、木の実を水で料理するようになった縄文時代、
稲作が始まり、井戸が作られ始めた弥生時代、
水を使って酢作りが始められるようになった飛鳥時代、
時を経て、江戸時代には飲料水を売る商売が始められるようになっていきます。
長い歴史の中で、常に体は水の存在に助けられてきました。


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■ 水の働き
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では、体の中で水は、どのように働いているのでしょうか。

人間の体重の約60%を占める水。
体の中での主な水分の働きは、血液として酸素や栄養を運ぶ働きや、老廃物などを対外に排泄する働き、また汗量を調節しながら体温調節の役目を果たしたり、細胞内外を行き来しながら体液の濃度を一定にする役割などを果たしています。

水分が欠乏すると便秘や口臭のもとになったり、
熱中症や、更には脳梗塞及び心筋梗塞などとも関わっていきます。

水を断つと、人は約一週間ほどで死ぬといわれています。
水なしでは生きていけません。
必要量をしっかり補うようにしましょう。


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■ 水分補給
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体の中の水は、尿や汗としてだけでなく、息を吐く時など気付かないうちにも水分が失われています。これらを合わせると、少なくとも一日に合計2L以上が失われており、それを補うだけの水分摂取が必要になります。
一方、一日三食の食事からは、約600―800mLの水をとることが出来ます。よってこの他に約1500mLの水を飲めば、体内の水分バランスが整います。一日に1.5L以上の水を飲むように心がけましょう。(心疾患、腎疾患等水分制限のある場合を除く)

水分補給の方法として、一気にたくさん飲むと内蔵に負担がかかったり、体がだるくなったりすることがあるため、こまめにとるのが理想的です。食後、朝起きたとき、寝る前や入浴後、スポーツの後などに効率的に補給するようにしましょう。

日本の復興と更なる発展に向け、効率的な水分補給を心がけましょう!