医療コラム

麦飯と食物繊維

2017年9月

管理栄養士 森 幸恵

日中暑くても、朝晩は涼しくて、すっかり秋ですね。

最近、栄養系の勉強会などでも「麦(大麦)飯」についてよく耳にします。
麦飯は、白米に大麦を3割~5割程混ぜて炊いたご飯です。

かつては、麦飯といえば白飯よりもビタミンB1が多めに含まれる為、ビタミンB1欠乏で起こる病気、脚気(かっけ)の予防に効果的と言われていました。

江戸~明治時代には、白飯が大量で、おかずが十分にない食事をしていた為、脚気が大流行しました。吉村昭の“白い航跡“でも、脚気と白飯との関係に気付いた医師高木兼寛について書かれています。(非常に面白いので、皆さんにも是非読んでいただきたい本です)

最近では、おかずが豊富になり、栄養素がとれるようになり、脚気はほとんど姿を消しました。

では、何故「麦ごはん」が見直されているのでしょうか。
それは、水溶性食物繊維の量の多さです。
食物繊維は、大きく分けて2つあり、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維です。
水溶性の食物繊維は、腸を通過する間にコレステロールを吸収しにくい形に変えたり、超での糖分の吸収を緩やかにする効果があります。
1日の食物繊維の摂取目標は、年齢や性別で違いますが、約20gです。
お茶碗軽く1杯150gの麦飯を3食食べると、1日の約1/3の食物繊維をとることができます。


野菜、海藻、きのこ、大豆製品などにも食物繊維は多く含まれます。野菜などをたくさん摂る機会がない方や、より積極的に食物繊維を摂りたい方にお勧めです。



大麦には、カリウムやリンといった栄養素がやや白米よりも多いので、それらを厳しく制限している方には少し不向きな面もあります。

カロリーは大麦も白米もほぼ同じです。
米飯よりもプリプリした食感があるため、よく噛むことにもつながります。
是非、お試しください。