医療コラム

旬の食材―トマト、枝豆、アジ!

2016年6 月18日
管理栄養士 中居有紀


梅雨に入り、雨の日が増えています。
今週も毎日のように天気予報は傘マーク…大地の食材にとっては恵みの雨ですね!

さて毎年6月は、内閣府の食育推進基本計画で定められた、食育月間です。
食育推進運動を特に力に入れて行われるのが、1年の中でもこの6月。

「食育」という言葉は、もとは明治期に活躍した食養医学の祖とされる“石塚左玄”らによって使い始められたと云われています。古くからあった言葉ですが、『食育』という言葉が浸透し始めたのは、ここ数年のこと。

 

 

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栄養指導の席では、
「昔からお米には7人の神様がいると言われて育ったから、盛られたごはんがどんなに多くても絶対に残せないんです」
「農家で生まれ育ったから、たくさん野菜を食べて育ちました。野菜は大好きです」
など…

育ってきた環境と今現在の嗜好を結び付けて説明される方がたくさん。

誰でも子供のころから自ずと食への意識づけがされてきているのだと思います。
最近の料理教室や農業体験のような食育のイベントも魅力的ですが、育ってきた家庭こそが、“食育”と切っても切り離せない場なのだと、栄養指導からもつくづく感じます。

だから家庭の味は、大切なもの。
人の一生の体をつくるともいえる、家庭の味。

そこには季節の食材を進んで取り入れて、素材を楽しめる味覚を育みたいものです。

今日は、今が旬の野菜を3つ、取り上げます。

 

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トマト

野菜の中でも人気のトマト。当クリニックの栄養指導でお聞きする限りは恐らく、人気ナンバー1の野菜だと思います。トマトは果物だと思われる方がよくいますが、トマトは緑黄色野菜の一つ、ナス科ナス属の野菜です。
一年中スーパーに売られていますが、日本での露地栽培の旬は今の6?8月にかけてと、秋口です。トマトで有名な栄養素は、リコピン。熱に強く、強力な抗酸化作用を持つリコピンは、動脈硬化やガンの予防、またシミ・しわから肌を守る美肌作用などにも働くと考えられています。中サイズ1個で約40kcalと低カロリー、体のために積極的にとりたい野菜です。

枝豆

夏の食材の代名詞、枝豆。栄養指導でも、毎年今くらいの頃から、夕食後に枝豆を食べているという人が増えてきます。酒の肴にも向いていて、一度食べ始めると止まらなくなってしまう枝豆、ヘルシーだと思っている人も多いようです。でも枝豆は本来大豆の成長途中のものなので、大豆ほどではないにしろ、タンパク質などの栄養分がしっかりしています。同じ量で比較すると他の野菜よりも高カロリーです。食べる時はあまりエンドレスになり過ぎないように、ほどほどに意識して食べるようにしましょう。

アジ(鯵)

青魚の代表、アジ。こちらも栄養指導の席で、よく耳にする食材です。干物なら年中食べられますが、旬としては今頃5?7月。旬は旨味が多く、よく油ものっています。この油が、“青魚は体に良い”といわれる理由。アジなど青魚の油は、コレステロールや中性脂肪を下げる働きがあるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富。またEPAやDHAは脳を活性化させ、認知症予防にも有効であることが確認されています。刺身や寿司で食べると、より無駄なくEPAやDHAが摂取できますが、焼き魚や干物でもOK。煮魚にすると油が流れ出てしまいます。
おいしいだけじゃなく体にもとてもやさしいアジ、食べるなら今!


旬の食材から3つ、トマト、枝豆、鯵の栄養…
ご家庭の味の、参考になりますように♪

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