医療コラム

ガマンしない、「適塩」食生活の過ごし方

2015年9月19日

管理栄養士 中居有紀

 

「私ね、何にでも醤油をかけて食べる方なんです。
 漬物にも、カレーにも、何のおかずでも。」


先日の栄養指導の席で、そんな風にお話しされている方がいました。
とある北関東の地方のご出身で、なんにでも醤油をかけて食べる食生活をして
育ったそうです。


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最近腎臓の数値が悪くなってきて、塩分量に気を付けようとご自身で考え始め、「醤油の量を減らすようにがんばろうかな」と意気込まれていました。

醤油は、食物の味や香りを引き立たせる、料理には欠かせない調味料。
しょっぱい味を好む人には欠かせないものですが、
言わずと知れた塩分の多い調味料の代表です。

塩分をとりすぎれば、血圧が上がって心臓や脳の血管に負担がかかったりと、危険。
特に日本は、塩分摂取量の多い国。
高血圧治療ガイドラインでは 6g 未満、世界の基準(WHO)では目標 5g までとされているのに対し、日本人の塩分平均摂取量はおよそ10 11g。(醤油かけ過ぎタイプの人はそれ以上の可能性も!) 世界的に見ても日本は多く摂取している国です。


塩分とり過ぎが気になっている人、
とり過ぎに心当たりのある人・・・

無理にガマンしなくても減塩・適塩にしていく方法はたくさんあります。
今回は、そんな調味料や塩分についてがテーマ。
出来そうなものがあったら、ぜひお試しください!

 

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● 調味料に含まれる塩分量
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まずは、それぞれの調味料に含まれている塩分の量について確認しておきましょう。
大さじ1杯あたりの塩分量は、それぞれ以下の通りです。

・濃い口醤油:2.6g

・うす口醤油:2.9g  ※濃い口より、うす口の方が塩分量多めなのに注意

・減塩醤油:1.4g

・淡色辛みそ:2.2g

・赤色辛みそ:2.4g

・中濃ソース:1.1g

・ウスターソース:1.4g

・オイスターソース:2.1g

・トマトケチャップ:0.5g



同じ量当たりで塩分の多い順に並べると

うす口醤油

濃い口醤油

赤色辛みそ

淡色辛みそ

オイスターソース

減塩醤油=ウスターソース 

中濃ソース

トマトケチャップ    ……となります。


この9種類で比べると、一番塩分が少ないのは、 トマトケチャップ
醤油の代わりになりそうな場合は、比較的塩分の少なめな
トマトケチャップや中濃ソースをうまく利用してみましょう。

 

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●   塩分を控える11のコツ

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1.濃い目のだしを利かせる
昆布や椎茸、削りガツオなどの旨味を利用してしっかりと濃い目のだしを利かせることで、調味料が少なくできます。 ただし市販のだしは、もともとの塩分量が多いので要注意。

2.スパイスを上手に利用する
塩分のないスパイス<コショウ、唐辛子、マスタードなど> を塩や醤油の代わりに上手に利用しましょう。塩分量が減り、味も引き締まります。

3.醤油は割って使う
醤油は、常にだし汁や酢、みりんで割って使うというのも一つの手。醤油が薄まって、塩分量が抑えられます。

4.すっぱい味を活かす
酢や柑橘類を利用して、「しょっぱい味」よりも「すっぱい味」の料理を増やしましょう。薄味にもどかしさを感じて我慢できなくなるよりは、味付けそのものを変えてしまった方が無理なく減塩できます。

5.味付けは冷ましてから
冷たいものの方が、温かいものよりも塩分を感じやすい。無駄に塩分を使い過ぎないように、味付けはなるべく冷ましてからの方が◎。

6.旬の食材を選ぶ
新鮮で旬な食材は、余計な調味料を使わずともその素材だけで美味しく食事を楽しめます。

7.表面に味付けする料理法にする
塩分がしっかり食材の中まで染み込む煮込み料理などよりは、照り焼きやあんかけのように表面だけ味付けする料理の方が、味をしっかり感じられるうえに出来上がり後の塩分量も少なく済みます。

8.みそ汁は1日1杯まで
味噌汁・澄まし汁・スープともに、1杯あたりの塩分量は1.5?2gほどあります。1日3杯飲んだら、それだけで塩分量が1日6gにまで到達しかねません。1日1杯まで、それも具だくさんで汁少なめ―というのが理想的です。

9.麺類の汁は残す
ラーメンやうどんなどの麺類は、麺そのものにも塩分が含まれているため、汁ごと1杯全て完食すると、それで塩分量5?6g程度に達します。特に塩分の多い汁は、基本的には残す方が健康的です。

10.下味に塩は使わない
料理の際、下味をつけるのにも塩はなるべく使わないようにした方が◎。下味をつけるならコショウや山椒などを利用してみましょう。

11.香味野菜を活かす
青じそやミョウガ、セロリやにんにくなどの香味野菜を利かせるのも、塩分を減らして食事を楽しむ方法の一つです。

 

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●   ナトリウム量から塩分量を計算するには?

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上でも述べたように、塩分量は6g未満にするのが理想的。
そこであらゆる食材の栄養成分表示の「塩分量」欄を見てみると、加工品や菓子などでは食塩の量としてでなく「ナトリウム」として表示されているだけのものも多くあります。
その場合、「ナトリウム」から塩分量に相当する量を、次の計算式を使って求めることができます。

 食塩相当量(g)=ナトリウム(g)×2.54 

例)きつねうどん1食96gあたり ナトリウム2.6gと表示されている場合
  2.6×2.54=6.6(g)
  ⇒ 塩分量は6.6g含まれているということがわかります。

※食品の栄養成分表示で、単位が(mg)で表示されている場合は、
 食塩相当量(g)=ナトリウム(mg)×2.54÷1000 で計算できます。

 

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塩分は体に必要なものの一つですが、
とり過ぎると危険なものでもあります。

素材の味を楽しみ、体にふさわしい自然な食事を美味しく感じるのも
とても大切なことだと思います。


塩分量表示も参考にしつつ、
調味料を上手に使いつつ、
だしやスパイスをうまく利用するなどして。

無理なく健康的な食事を楽しむ食生活をお送りくださいwink

 

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