医療コラム

■人気のヘルシー食材 アボカド

管理栄養士 中居有紀

先月末、カロリーバランスについて集団栄養指導を行いました。

当クリニックの『高尾山クラブ』のメンバーの方々など多数ご参加いただき、「カロリー」について学習しながらも、グループワークで楽しく交流を深めて頂けたように思います。今月末にも別テーマで行いますので、クリニックの掲示をご確認ください。


食に関する意識は人それぞれです。
例えば集団栄養指導にご参加下さった方々は、意識の高い方が多く、「いつまでも健康にハツラツとしていたい」「人生の目的があるから、それを達成するまでは食事も運動も気を遣いたい」など目的を持って食生活を行っている方たちです。

個人の栄養指導でも、そのように目的を持っている方や、また「健康」そのものに関心を持って本やテレビで常に情報収集している方、一日の食事記録を毎日コツコツと書き続けている方などもいます。その一方で、「健康はどうでもいいから食べたいものを食べて好きなようにして生きたい」という方、「管理しなきゃいけないのはわかっているけど食べ物を前にするとつい食欲優先になってしまう」という方、また「意欲は十二分にあるが実際にどうしたらいいかわからないor出来る環境にいない」などの意見もあります。健康意識や取り組み状況も人によって幅広く分かれています。


体のことを考えて『食事管理』を自ら積極的に行っている場合は問題ありませんが、中には意欲的になれない方もたくさんいます。そのような場合、「楽しみ」であるはずの食事時間を強制的に管理させるというのは、精神面のストレスなども考えたら最善の策とは考え難いもの。それでも少しでも、楽しく健康に近づけたらそれに越したことはありません。長期的に考えたら、健康的な食生活こそが心身ともに元気に快活にさせてくれるものです。

その『楽しく健康に』なるためのちょっとした工夫や心の持ち方についても、栄養相談の時間には栄養の知識・情報とともにお伝えさせて頂くようにしています。気になった方はお気軽に管理栄養士までお声かけください。

まずは、自分が好きでかつ健康的にもいい食材、それを何か一つ、積極的に食生活に取り入れていくことから始めてもいいかもしれません。そこで今回は、人気でヘルシーイメージも高い食材=アボカドについてです。


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■ アボカドと世界史
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「森のバター」とも呼ばれるアボカド。なんと、「世界一栄養価の高い果物」としてギネスブックに載っているそうです。
もとは南アメリカからメキシコ南部にかけて野生していたもので、アステカ族により栽培されていました。また13世紀末には、インカ王の墓からアボカドの種が発見されたことから、何百年も前のインカ帝国の時代からアボカドが大切な食料として栽培されていたのがわかっています。日本に入ってきたのは、100年ほど前のことです。


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■ アボカドの栄養
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アボカドは非常に栄養価の高い果物です。がんや動脈硬化、老化防止に効果があるといわれているビタミンEをはじめ、各種ビタミン、葉酸、亜鉛、鉄やリンなどのミネラルも含んでいます。また、体内の余分なナトリウムを排泄してくれるカリウムも多いので、高血圧予防や脳梗塞予防、心筋梗塞予防などにも期待されています。
更にアボカドは「森のバター」と称される通り、脂肪分が多いのも特徴です。果肉の脂肪分は20%近くもありますが、この脂肪分の主体は、オレイン酸やリノール酸、リノレン酸といった良質な不飽和脂肪酸で、血液をサラサラにしたり、コレステロールを減らす働きをします。ただし脂肪であることに変わりはないため、高カロリーであるのも事実です。アボカド1個当たり200―250kcalほどあり、ご飯1杯分と同じくらいです。各々の病態にもよりますが、摂取量は1日に1/2個程度にするのが適量といえるでしょう。

(№.21)

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