医療コラム

4年に一度、ニンニクの日

管理栄養士 中居有紀

ロンドン五輪が開催される今年は閏年(うるうどし)。
なんと、4年に一度の「ニンニクの日」がある年でもあるのです。

ニンニクのイメージといえば、その特徴的な「におい」、そして健康イメージ。
商品名自体に「ニンニク」の名前のつくサプリメントは数知れません。

そもそもニンニクの健康効果が注目されるようになったのは紀元前から。
世界最古の薬物治療書「エベルス パピルス(The Papyrus Evers)」には、疲労、衰弱、循環器疾患などに効くとして、ニンニクを含む22の治療薬が記載されています。

またピラミッド建造に従事した労働者が大量のニンニクを食していたことが「エジプト史」に記載されていたり、中国の薬学著書「本草綱目」や、古代インドの医学書「アーユルベーダ」、日本の「古事記」や「源氏物語」にも、ニンニクについて記載されていることなど、古くから、そのニンニクの働きが期待されて、世界的に重宝されてきたようです。更に1990年には、アメリカの国立癌研究所で、ガン予防の効果が高い食品の頂点としてニンニクが選ばれています。

今後も人間の体に健康をもたらしてくれるであろうニンニクについて、改めて振り返ってみましょう。


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■ ニンニクのにおいのもとは、アリシン
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体に良いとなれば、食生活にとりいれていきたいニンニクですが、そのにおいが気になる方はとても多いものです。
このニンニクのにおいの元は、「アリイン」という物質。本来は無臭のアリインは、ニンニクをスライスしたり刻んだりすることで空気中の酸素に触れると、「アリシン」という物質に変化します。このアリシンこそがニンニク臭といわれるにおいの元。ニンニクが滋養強壮、疲労回復に働くといわれているのは、このアリシンによるものです。
においを消すためには、ニンニク料理を食べたすぐ後にりんごを食べる、緑茶やレモンを摂る、などと言われています。古来から現代にかけて、体に良いとされてきたニンニク。においとも上手に付き合って、食生活に取り入れていきたいものです。


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■ スタミナ食と言われるニンニクの栄養素
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ニンニクは他の野菜よりも炭水化物が多く、カロリーも比較的高め。
1個につき、50―80kcal程度です。

ニンニクの主な特徴的な成分は、
・アリシン
・ビタミンB6

アリシンは、上にも書いたように臭気成分でもあり、豚肉などの食品に多いビタミンB1と結合して、疲労回復や滋養強壮に働きます。また新陳代謝の活性化の他、食欲増進や抗菌作用などが知られています。
またビタミンB6が、全食品の中でも非常に多い分類に入ります。食品中のタンパク質からエネルギーを産生したり、筋肉や血液などが作られる時に働いています。皮膚や粘膜の健康維持にも役立っています。

ニンニクがスタミナ食として有名になったのは、これらの成分によるものなのでしょう。
2月29日、ニンニクの日は、ニンニク料理を食卓に並べて、日々の疲れを回復させても良いかもしれません。

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