医療コラム

■お盆にも活躍の夏野菜「なす」

管理栄養士 中居有紀

おかげさまで毎回定員を上回るお申し込みを頂いている集団栄養指導。
そんな先月の集団栄養指導では、メニューのカロリーあてクイズを行いました。
正解が約1100kcalほどのメニューを、一つのグループはかなり正解に近い答えとなったものの、もう1グループは300―400kcalほど差がある答えで回答。「カロリーについて日頃から勉強してるつもりではあるものの、まだまだと思った」などの声が数多く聞かれました。

カロリーだけが全てではありませんが、このカロリーのコントロールが日頃うまく行えていれば、かからずに済む病気もたくさんあるものです。

またカロリーに加え、例えば野菜でも同じ価格で似たような見た目なのに健康効果の高いものとそうでないものを使い分けることが出来るようになれば、量だけでなく『質』の面でも応用できるようになり、ますます食卓がヘルシーになっていきます。

今月の集団栄養指導では、そのような『質』を考えるにあたり必要な知識を「抗酸化力」の面からお伝えしていきます。


さて東京は今週、梅雨明けしました。
さっそく猛暑日が続き、来月のお盆もすぐにやってきます。

地方によっては、お盆になすやきゅうりで馬形を作って精霊馬にしたりしますが、
今日は、そんなナスについてがテーマです。


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■ 精霊馬(しょうりょううま)
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なすやきゅうりに、マッチ棒や折った割り箸などを足に見立てて差し込み、牛、馬として仏壇まわりや精霊棚に供物とともに並べる。きゅうりは足の速い馬に見立てられ、故人の霊魂があの世から早く家に戻ってくるように、ナスは歩みの遅い牛に見立てられ、この世からあの世に帰るのが少しでも遅くなるように、また供物を牛に乗せてあの世へ持ち帰ってもらうとの願いが込められている。


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■ なすの栄養
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「なすには栄養がない」と思われている方が多くいます。
しかし、なすの皮の紫黒色の色素『ナスニン』には強力な抗酸化作用があり、その抗酸化力の強さは身近な野菜の中でも一、二を争うほど。(ORAC値比較)
ガン・動脈硬化・糖尿病などのあらゆる生活習慣病予防に働くと考えられている抗酸化作用。なすの力を借りて、酸化ストレスに強い体をつくっていきましょう。

また「なすは体を冷やす」という説も昔からありますが、実際に体温を下げると立証されているわけではありません。


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■ なすを料理する
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【なす料理】
なすは、切ったまま放置すると酸化されて切り口から変色してしまうので、切ったら水につけて変色を防ぎましょう。これにより酸化される物質が水に溶け出して薄められるので、酷く変色することはありません。また、炒めるときは強火で短時間に仕上げると色よく仕上がります。

【なすの保存】
なすは、常温で保存するのが一番適しています。
保存適温は7―10℃。冷蔵庫に入れると種子・果肉・皮が硬くなり風味が落ちてしまうので、常温で保存して2―3日で食べきりましょう。5℃以下では低温障害の心配があります。


夏野菜の代表ともいえるナス。
旬の野菜を楽しんで、美味しく健康づくりに役立てましょう!

(№.23)

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