医療コラム

食べ合わせで最大限の働きを-

管理栄養士 中居有紀

 昨晩食した、蒸したキヌサヤ。
 蒸した野菜は甘みが強く、調味料を使わなくてもヘルシーにおいしく食べられます。
 この甘くておやつ感覚でも食べられるキヌサヤ、クリニックの患者さんが家庭菜園で栽培し、それをくださったものでした。

 毎日のことであるだけに、日ごろの生活と結びついている『食』。

 ヘルシーな野菜で心身ともにヘルシーに生活されている方がいる反面、こんな悩みの声も。
 「食事になんの欲も持てません…」
 栄養指導の時間に聞かせていただいた、とある方の心の声でした。
 お話をさせて頂きながら、その背景にはやはり食事を囲むテーブル、『食卓』の存在が大きく影響していることが感じられました。食卓を囲むつながり・関係性が、生活の質そのものと関係していることを改めて感じさせて頂きました。

 似たようなことが、食事・栄養素同士でも起こります。
 栄養素同士もその組み合わせによって、働き方、生み出されるものが変わります。
 今日はその『栄養素の組み合わせ、食べ合わせ』についてです。


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■ 食べ合わせがいいものは?
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  栄養素は現在、知られているだけでも約50種類あります。これらの多種類の栄養素が機能を発揮し、効率よく利用される仕組みがヒトの体にはととのっていて、たくさんの栄養素同士が助け合って体の中で作用しています。その主なものをご紹介します。

○ごはんとタラコ (⇒ 例:タラコのおにぎり)
  ごはんのような炭水化物がエネルギーに変わるには、ビタミンB1が必要になります。ビタミンB1が不足していると、疲れのもとである乳酸が溜まる原因となったり、またエネルギーにならずに体脂肪として蓄積されたりしてしまいます。ビタミンB1が多い食品には玄米や豚肉、タラコなどがあります。疲れやすい時や夏バテしている時などに、タラコのおにぎりなどを選ぶのも良いでしょう。(コレステロールが高い方は、主食を玄米にするといいでしょう)

○豚肉とネギ (⇒ 例:ネギの豚肉巻き)
  上記のビタミンB1は、更に硫化アリルという成分と組み合わさることによって、より吸収率が高まります。硫化アリルが多い食品は、玉ねぎやニンニク、そしてネギなど。これにより疲れにくい体づくりが期待できます。

○小松菜とパプリカの和え物
  鉄分の多い小松菜は、ビタミンCが多く含まれるパプリカと一緒に摂取することによって、より鉄分の吸収が促されます。

○海藻の味噌汁
  味噌汁は、1杯あたり約1.5―2gの塩分が含まれています。塩分中のナトリウムは、過剰にとると血圧に影響したり、心臓に負担がかかったりします。これに対し、カリウムの多い海藻をたっぷりと味噌汁の具としてとることによって、ナトリウムが体外に排出されやすくなります。

 栄養素、それぞれにある役割。
 互いに作用させて、「栄養」としての働きを高めましょう。

  2011/06/18   澤渡循環器クリニック